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寒天とゼラチン(2)
前回おもに寒天についてご紹介しましたが、今回はゼラチンを中心にご紹介します。

寒天は海草から取れる多糖類がおもな成分でした。ゼラチンは一見寒天に似ていますが、その主成分はタンパク質で、動物の骨や皮,腱などに含まれる不溶性タンパク質のコラーゲンを、水とともに加熱分解して水溶性に変えたものです。良質の材料を使ってよく精製し、透明度の高いものが食用のゼラチンとして使われます。不純物が多いものは、接着剤などとして使われるにかわ(膠)になります。

ゼラチンの起源は、古代エジプトで接着剤として使われた、にかわ製造にさかのぼります。食用に使われるようになったのは19世紀のヨーロッパで、寒天よりもずっと新しいものです。
作り方は、牛や豚の骨を原料にして、それらを細かく砕いて脂肪分や無機質を除き、2〜3ヶ月石灰につけてコラーゲン以外の成分を除きます(アルカリ処理)。これを水洗いして、温度を上げて数回抽出を行い、純度を上げていきます。その後、ろ過、濃縮、乾燥の工程を経て板状に固めたのが板ゼラチン、ひも状に固めた後粉砕したのが粉ゼラチンです。
主成分はタンパク質で、必須アミノ酸のひとつトリプトファンが含まれていませんが、代わりにリジンが多く含まれます。そのためリジンが少ない小麦製品といっしょに食べると、バランスの良いメニューになります。

それではゼラチンを使う上で注意すべきことを、いくつかご紹介しましょう。
まずゼラチンは使う前に水に浸して、よく吸水させる必要があります。板ゼラチンは適量の水に約20分入れ、粉ゼラチンは倍ぐらいの水に振り入れて軽くかき混ぜ、5分ぐらいおきます。このとき必ず水の中にゼラチンを入れるようにします。ゼラチンに水をかけると、まんべんなく吸水しにくくなるので、注意しましょう。
ゼラチンは温度を上げると水に溶けますが、熱に弱く水を沸騰させるとタンパク質が変質して固まりにくくなります。60℃ぐらいで溶けるので、弱火か湯せんで溶かし、溶けたらすぐに火からおろすようにしましょう。
パイナップル、パパイア、キウイフルーツ、イチジクなどは、タンパク質分解酵素を含むため、生のままでいっしょに使うと、ゼラチンが分解されて固まらなくなります。そのためゼリーなどでこれらの果物を使う場合は、加熱して酵素の働きをとめるか、缶詰を使うようにします。
ゼラチン溶液は、濃度にもよりますが、固めるためには10℃以下の低温に数時間置いておく必要があります。長く冷やすほど、しっかりと固まるので、ゼリーを作る場合は長めに冷蔵庫に入れるようにします。なお寒天と違って夏は常温でも溶け出すので、冷蔵が必要です。

家庭でゼリーを使う場合は、以上でご紹介した寒天かゼラチンを使う場合が多いのですが、それ以外にも凝固剤として使われるものがいくつかあります。
まずはペクチン。植物の細胞壁などに含まれる多糖類で、寒天よりも酸に強いので、酸の多いフルーツゼリーやジャムなどによく使われます。
そして寒天の原料のテングサと同じ紅藻類の、ツノマタやスギノリなどに含まれる多糖類ガラクトースを主原料としたカラギーナン。安定していて50℃以上でしか溶けず、溶けても冷やせば元に戻るので、おもに業務用として使われます。市販のゼリーなどは夏の常温でも溶けにくくしてありますが、これはゼラチンにカラギーナンを加えて、型崩れや溶解を防いでいるためです。

 

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