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ナチュラルチーズとプロセズチーズ
チーズは食べられる遺跡と言われるほどその歴史は古く、また各地で多くのバリエーションが生まれています。おそらく人類が家畜を飼ってその乳を利用し始めたころからチーズの原型が作られたと考えられていて、1万年前までさかのぼるとも言われます。
日本でも古代にチーズらしいものが作られた記録がありますが、実際に広く親しまれるようになったのは、戦後アメリカからプロセスチーズが輸入されるようになってからです。そのため日本ではチーズといえばプロセスチーズが中心で、長い歴史のあるナチュラルチーズはあまり親しまれていないという、めずらしい国と言えるかもしれません。そこで今回は、ナチュラルチーズとプロセスチーズについて、簡単にご紹介します。

ナチュラルチーズとは、牛やヤギなどの乳を原料にして作られるチーズで、長い歴史ととても多くの種類があります。最初のチーズは西アジアが発祥とされ、乳を乳酸菌発酵により、脂肪やタンパク質を主成分とするカード(凝乳)と黄色い水分ホエー(乳清)に分け、カードを固めて作られました。
アラビアの民話には、商人がヤギの乳をヒツジの胃袋で作った水筒に入れて旅をしていたところ、白いかたまりができて、それがとてもおいしかったというお話があります。これはヒツジの胃袋にあった酵素(レンネット)の仕業で、乳酸菌と同じようにカードを取り出すことができます。

チーズは中東からトルコ、ギリシア、ローマをへてヨーロッパに伝わり発展します。チーズは乳酸菌や酵素で取り出したカードを固めて塩を加えたあと、熟成させますが、そのときに酵母やカビを使うことで、風味を増します。その酵母やカビの種類が土地によって違うのはもちろん、原料となる乳や作り方の違いで、まったく異なる味や香りのチーズが出来上がるわけです。
ちなみに同じように発酵させて作るワインとチーズが合うことはよく知られていますが、同じ土地で作られたワインとチーズは酵母が同じため相性がよいということは、知っておくと便利です。

このように自然の力を利用して作られるナチュラルチーズに対して、大量に作れて保存性がよく、さまざまな形に加工されて売られているのがプロセスチーズです。
1911年にスイスで、ナチュラルチーズにクエン酸ナトリウムをまぜて加熱すると、冷やしてももとのチーズに戻ることが発見されました。それまでは、一度チーズを加熱すると脂肪分と水分が分離して元に戻らなかったのです。そして1917年にアメリカでナチュラルチーズにクエン酸ナトリウム,リン酸ナトリウムを混ぜてプロセスチーズを作ることに成功し、大量に作られるようになりました。

プロセスチーズは、数種類のナチュラルチーズから作られるため、風味や品質を一定に保つことができるという特長があります。(日本ではあまりくせのないゴーダチーズやエダムチーズなどが原料に使われます。)さらに香辛料やナッツ類などをくわえた加工食品にしたり、スライスタイプやスティックタイプ、スモークチーズやさけるチーズなど、いろいろな形,味に仕上げられるのも、プロセスチーズならではといえるでしょう。しかしその分、チーズ本来の自然で多彩な風味を味わえないのは物足りないところです。
そんな日本でも、最近はさまざまなナチュラルチーズが輸入されたり作られるようになり、愛好する人が増えているためか、輸入量も増えています。お菓子の材料として、またワインのお供に、好みのナチュラルチーズを探してみるのも、楽しみになるのではないでしょうか。

ヨーロッパ伝統の食文化『ナチュラルチーズ』、その深さをご家庭でどうぞ!

 

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