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植物性油について |
油にはとても広い意味があります。石油やガゾリンなどの鉱物油や、ラードやバターなどの動物性油、そしてサラダオイルなどの植物性油。今回はお菓子作りにもよく使う植物性油について、その特徴や歴史について、簡単にご紹介しましょう。
植物性の油は、種子や実を絞って作るのが一般的です。その原料は、オリーブやごま、菜種などいろいろありますが、一見してわかるようにどれも小さくて含まれる油が多くないので、どうしても手に入りにくく、高価になりがちです。今でこそ機械を使った大量生産ができますが、昔はすべて手作りだったので、とても貴重なものでした。
古代エジプトでは、紀元前4世紀ごろに油を使った記録があり、またギリシャ神話や旧約聖書にもオリーブの実と油について書かれています。このように油の利用は紀元前から始まっていて、オリーブの栽培も行われていました。
その後ローマ時代にかけて、油は灯火用や食用、そして医薬品や化粧品にと生活必需品となっていきました。
日本では、平安時代にごまやえごま(しその一種),麻などの油が使われ始めましたが、とても高価なため、皇室や貴族などのごく一部で使用されただけでした。
その後鎌倉時代に精進料理が発達し、それとともに油を使った料理が広まりました。精進料理は肉などを使わず、代わりに野菜を油で炒めたものを使ったのです。けんちん汁などはその代表でした。当時は菜種や大豆,ごまなどの油が利用されました。
その後ポルトガル料理にルーツがあるといわれるてんぷらの渡来などもあり、江戸時代になると油は広く庶民の生活にまで入り込んでいきました。幕府も菜種の栽培を奨励し、油の食文化はますます広がっていったのです。
ところで油は液体ですが、グラムやキログラムなどの重量単位で売られているということはご存知でしょうか。液体なのになぜリットルなどの単位を使わないのか。それは油の比重が軽いことが、ひとつの理由です。
水は1リットルが約1キログラムですが、油の比重は約0.9なので、1リットルが900グラムぐらいしかありません。そのため間違いの元となりやすいのです。
また油は温度による容積の変化が大きいので、同じ量でも暑いときと寒いときでは重さが違います。つまりおなじ量を買っても冬は重く(つまりたくさんあり)、夏は軽い(つまり少ない)ということになってしまうのです。そのため油は重量で計って売るわけですね。 |
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