おさびし山のホームメードケーキ
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失敗から生まれたタルト・タタン
フランスで有名なリンゴのタルト「タルト・タタン」。ちょっとこげたリンゴの香ばしさがなんともいえないおいしさですが、このタルト・タタンが実はある失敗から生まれたというのは、わりと有名なお話です。今回はそのタルト・タタンについて、ご紹介しましょう。

普通のタルトはタルト生地の上に果物をのせて焼きますが、タルト・タタンはリンゴとバター,砂糖を先に焼き、上から生地をかぶせて、最後にひっくり返してできあがります。(英語ではアップサイド ダウン アップル タルトとも言います)リンゴの果汁が生地におおわれているために蒸発せず、砂糖,バターといっしょに焼けてカラメル状になって、なんとも香ばしくふっくらとして、おいしいお菓子です。

フランス中部ソローニュ地方のラモット・ブーヴロンという小さな町が、タルト・タタンの生まれ故郷です。その町の駅前旅館「ホテル・タタン」を1888年に継いだのが、姉ステファニー、妹カロリーヌのタタン姉妹でした。ステファニーは料理を、愛嬌よく人気のあるカロリーヌは接客を担当して、そのレストランは町のサロン的な雰囲気で、とてもにぎわっていたそうです。

この地方は狩りがさかんで、秋のシーズンともなると、都会からも多くのハンターたちがやってきます。その日も狩りにでかけた人たちが昼食をとるためにホテル・タタンを訪れ、たいへんな賑わいでした。ひとりで料理を切り盛りするステファニーもてんてこ舞い。いつもどおりリンゴのタルトを焼こうとしたのですが、ちょっと考え事をしていたこともあって、生地を敷かずにカットしたリンゴだけを焼いてしまいました。
あわててやり直そうとしましたが、時間がありません。そこでカロリーヌの提案で、仕方なく上から生地をかぶせて、あとからひっくり返して火を通し、さかさまに焼いたタルトができあがったのです。
狩りのシーズン用に新しい焼き方を工夫したということにして出したところ、これがとても受けて、それからはこのタルトの評判が口コミで広がっていきました。そして「タルト・タタン」と命名されてホテルの名物となり、いつしか伝統的なフランス菓子の仲間入りをするまでになったのです。

カロリーヌは1911年に64歳で、ステファニーは1917年に79歳で亡くなりましたが、失敗から生まれたタルト・タタンは、今でもブーヴロンの名物として、ホテル・タタンのレストランでタタン姉妹のレシピに忠実に焼かれています。機会があれば、ぜひ本物の味を味わってみてはいかがでしょうか。

しかし人生では、何が幸いするかわかりません。ケーキ作りで失敗をすることも多いでしょうが、あきらめないでいろいろ工夫をしてみましょう。そこから世間をあっと言わせるような、まったく新しいお菓子が生まれるかもしれませんね。

 

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