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そもそもスポンジケーキって |
ケーキといえば、まず思い出すのはいちごのショートケーキやチョコレートケーキなどのふわふわした生地ではないでしょうか。一般的にスポンジケーキと呼ばれる、ふわふわした生地について、今回はご紹介します。
「ビスケットとクッキー」で、卵を泡立てるという技術によってケーキができあがっていくとご紹介しました。卵をかくはんすると泡立ち、しかもその泡がしばらくしても消えないという発見は、お菓子の歴史の中では、まさに画期的なできごとでした。
この技術が考案されたのは、今のスペインにあるカスティリヤ地方と言われています。当時太陽の没するところはないと言われたイスパニア王国では、中南米からの砂糖の輸入も盛んで、お菓子の技術も大いに発展したのです。ここでビスコチョと呼ばれるふっくらとしたクッキーが作られるようになりました。ちなみに16世紀にポルトガルから輸入されて日本に定着したカステラは、このカスティリア地方のお菓子でした。
しかし当時の生地はまだきめが粗いものだったようで、バラの精油やワインを加えるなど、さまざまな工夫がこらされたそうです。そして18世紀に卵を卵黄と卵白に分けて泡立てる別立て法が使われるようになり、やわらかくきめの細かい今のような生地ができていきました。
このいわゆるスポンジケーキは、フランスではビスキュイ(biscuit 英語読みでビスケット)と呼ばれています。これはラテン語のbis(二度)とフランス語のcuit(焼く)をあわせた言葉で、もともと小麦粉を水で練って焼いただけの固い食べ物を指していましたが、泡立てた卵を使うようになっても、そのまま名前が継承されたようです。
またフランスでは別名ジェノワーズ(genoise)とも呼ばれますが、これはイタリアのジェノヴァが発祥とされているためです。しかしイタリアではパネ・ディ・スパーニャ(スペインのパン)と呼ばれているそうで、やはりスペインから伝わったようです。
おそらくスペインで生まれた技術がイタリアに伝わり、それをジェノヴァの職人がフランスに持ち込んだためにジェノワーズと呼ばれるようになったのではないかといわれています。
なおジェノワーズとビスキュイの違いについて、共立てがジェノワーズで別立てがビスキュイ、あるいはバターが入るのがジェノワーズで入らないのがビスキュイなどの説もあるそうですが、材料や技術に大きな違いはなく、基本的に同じ物と考えてよさそうです。
さて日本でおなじみのスポンジケーキという呼び名ですが、これはアメリカで見た目がスポンジに似ているためにこう呼ばれたものが輸入されたものです。呼び名ひとつとってもアメリカの合理的な面と、ヨ−ロッパの伝統が反映されているようで、おもしろいとおもいませんか。 |
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