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ビスケットとクッキー |
レシピでクッキーやビスケットをいくつか紹介していますが、並べたのを見ていて、さてビスケットとクッキーはどう違うのかなと、疑問に思うこともあります。ずいぶん前にそんな質問もいただいていたので、ちょっとまとめてみました。
まずビスケットやクッキーの定義です。小麦粉を原料にした乾き焼き菓子といった感じですが、どうも国によってかなり違うようです。ビスケットの語源は、ラテン語のビスコトゥム・パネム(二度焼きしたパン)といわれていますが、ラテン語のbis(二度)という言葉と、フランス語のcuit(焼く)という言葉が合成されて、ビスケット(biscuit)となったそうです。
もともと旅や兵士の食料用として日持ちするように、小麦粉を水やミルクでこね酵母を入れずに焼いたパンを、薄く切ってもう一度焼いたり乾かしたものが始まりで、その後卵やバターなどを入れて焼くバリエーションが増えていったのです。最初のビスケットは今の乾パンのようなそっけないもので、そこからいろいろ工夫されて、今私たちが食べているようなおいしいビスケットやクッキーが作られていったわけですね。
その後卵を泡立てて加えるという技術が、今のポルトガルのカスティリアで考案されて、ふっくらとしたケーキができあがっていくのですが、そのあたりについては、次回ご紹介します。
そこで肝心なビスケットとクッキーの違いですが、どうも国によってかなり違うようなので、おもな国ごとにどのような違いがあるのかまとめてみました。
・イギリス
イギリスはビスケットの本場で、乾パンのようだったものを発展させて、さまざまなおいしいお菓子を作り上げてきました。そのイギリスでクッキーというと、ベーキングパウダーやイーストを使ってふくらませたものを言います。日本でビスケットやクッキーと呼ばれるものの多くは、ビスケットに入るようですね。
・フランス
フランスでbiscuit(ビスキュイ)というと、スポンジケーキのことをさします。これはビスケットに泡立てた卵を使うようになっても、そのまま名前を変えなかったためです。代わりにいわゆるビスケットはフールセック(焼き乾き菓子)とか、小さいという言葉をつけてプティ・フールセックと呼ばれています。これにはアーモンドなどの堅果を主体にした焼き菓子マカロンや、一部のチョコレートなど、わりと広く含まれるようです。またフランス語で砂を意味するサーブルを語源とするサブレもあります。これは口の中でパラパラと砂のようにくずれることから、そう呼ばれるようになりました。
・日本
日本では、小麦粉が主な材料となる乾き焼き菓子のうち、水分やバターなどが少ないものをビスケット、水分やバターが多くマカロンやパイ生地のものなど割と広い範囲のものをクッキーと呼ぶ傾向にあります。サブレはビスケットの一種という感じでしょうか。
・アメリカ
イギリスとは逆で、イギリスでビスケットと呼ばれるものの多くは、クッキーと呼ばれるようです。また口当たりが軽くパリっと砕けるようなものは、クラッカー(砕くという意味のcrackが語源)と呼び、チーズをのせたりクリームをはさんだりして食べることも多いですね。 |
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