前回はお菓子作りによく使うお酒として、フルーツ系のリキュールをご紹介しました。しかしフルーツのほかにも、いろいろな原料から作られたリキュールがあります。
今回はそのリキュールについて、フルーツ以外のものをご紹介します。
ケーキでフルーツとならんでよく使われる材料に、ナッツ類があります。そしてナッツを利用して作られるリキュールも、いろいろあります。代表的なものは、コーヒー、カカオ、そしてアマレットと呼ばれるアーモンド風味のリキュールなど。そのほかにも、くるみやマカデミアナッツ、栗や、なんとドングリから作ったリキュールまであるのです。
では代表的な、ナッツから作るリキュールをご紹介しましょう。
●アマレット
アーモンド風味のリキュールですが、実はアーモンドではなく、あんずの種から抽出したオイルが原料です。そのオイルの蒸留液にスパイスの抽出液とアルコールを加えて熟成し、シロップを加えて作ります。アーモンド風味のお菓子には、よく合います。
●カカオ
チョコレートを溶かしたような味わいのお酒で、チョコレートリキュールなどとも呼ばれます。バレンタインデーにもぴったりですね。
焙煎したカカオ豆をアルコールに漬けたあと蒸留し、そこにカカオ豆の浸透液と色素を混ぜると、チョコレート色のリキュールができます。蒸留しただけのものは、カカオの風味はあるものの無色透明なので、ホワイトカカオリキュールと呼ばれます。
もちろんチョコレートケーキに、よくあいます。
●コーヒー
焙煎したコーヒー豆をアルコールに漬けて蒸留して作ります。カカオ同様にいろいろコーヒーからの抽出液などを混ぜることで、さまざまな風味のリキュールが作られています。苦味を強めたエスプレッソ風や、カップチーノ風などなど。またバニラやオレンジなど、他の風味を加えたものも多く、コーヒー同様に、多くのバリエーションがあります。
コーヒーやチョコレート風味のケーキに合います。
アルコールと油は相性がよくないのですが、最近は技術の進歩により、脂肪やタンパク質を多く含むクリームやミルクを使ったリキュールも作られるようになりました。
たとえばドイツのグライツァー社が出している、「〜ザーネ」というシリーズ。いちごミルクやコーヒーミルク、クリームキャラメル、オレンジミルクなど、お酒とは思えないようなリキュールが販売されています。
そのほかにも、ヨーグルトや卵のリキュールもあって、驚かされます。
最初にご紹介したように、リキュールとは、薬であるお酒に薬草の成分を溶かし込めば、さらに強い薬効が得られるという考えの下に作られました。そのため、リキュールとは本来甘いものではなく、今とはかなり異なる薬くさい飲み物だったと思われます。
そんな薬草・ハーブ系のリキュールは、もともと修道院で多く作られており、今でも修道院製のリキュールは残っています。
シャルトリューズという有名なリキュールがありますが、もともとはシャルトリューズ修道院で作られていました。1970年以降は民間企業に製造を委託していますが、今でも風味の調合は3人の修道士が行うそうです。
そのほか、薬草・ハーブ系のリキュールで有名なのは、イタリアのカンパリでしょう。ビターオレンジ、キャラウェイ、コリアンダーなど、30種類以上のハーブが配合されています。
このように、ひとことでリキュールといっても、実にさまざまな風味のものがあります。どれを使えばいいのか迷ってしまいますが、基本はメインとなる材料と、同じ原料から作られたリキュールを使うことです。ぜひお気に入りを探してみてください。
|