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太る体質とは遺伝するのでしょうか
たとえば大相撲の親方の息子が力士になったり、兄弟がともに太っていたりと、太りやすい家系というのがあるように思えます。太るのが遺伝的な原因なのか、あるいは環境によるのかという問題は以前から研究されており、特に双子を対象にした調査・研究がいろいろなされています。これは一卵性双生児と二卵性双生児を統計的に比較することで、前者の類似性が後者より大きければ、遺伝的な要素が大きいと判断するものです。(一卵性双生児は遺伝子を100%共有しているが、二卵性双生児は50%しか共有していないため)
ある研究によれば、双子同士を比べた場合、あきらかに一卵性双生児のほうが体脂肪率や脂肪のつく位置が似ている場合が多く、太ることについては遺伝的要素が大きく影響していると結論付けられています。また養子についての調査では、育ての親との体格には相関関係はないが、生みの親との間には相関関係が認められました。つまり食事の質や量、親のスポーツの好き嫌いなどの家庭環境と太ることとは関係なく、親子の遺伝が強くかかわっていることが、証明されたのです。
また太りやすい体質が父親と母親のどちらからくるかというと、母親からより強く伝わることがわかっています。これは細胞の中でエネルギーを作り出す役割を持つミトコンドリアが、母親の遺伝子からのみ受け継がれるためです。ミトコンドリアはエネルギーの消費に大きくかかわるので、太ったりやせたりという体型にも影響を与えているのです。ただしこれが太りやすい体質の原因のすべてではなく、ほかにもさまざまな要素が影響しています。
世界には極端に肥満の人たちが多い地域あるいは民族が存在しています。たとえば世界一太っている人が多いという、ミクロネシアのナウル島では、成人男性の80%、女性の78%がBMI30以上です。(日本人は成人の2%程度)
他にもトンガやフィジー、あるいはアメリカ・アリゾナ州のピマ・インディアンなど、極端に肥満した人の割合が多い地域が増えています。これは、もともと遺伝的に太りやすい体質だった上に、アメリカなどから高カロリー高脂肪の食品が入ってきて普及したためと思われます。このような体質は、食料が少ないときには生き延びるために有効ですが、飽食の時代には逆に肥満による合併症などで命を縮めるという、皮肉なことになっているのです。
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