おさびし山のホームメードケーキ
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大豆から作る発酵食品 〜納豆〜
大豆から作る発酵食品をご紹介してきましたが、最後は健康食品の代表でもある納豆です。
納豆ほど東と西で好みが別れる食べ物もないと思いますが、もともとは中国にそのルーツがあるようです。中国では大豆にこうじを加えて発酵させる食べ物があり、それはみそのもとにもなったのですが、奈良時代には日本に入ってきていました。
鎌倉時代には精進料理のひとつとして、また兵糧としても武士に重宝されました。当時のエピソードとして有名なのが、前九年の役で東北地方の平定に向かった源義家にまつわるお話です。当時は大豆の煮豆をわらに包んで持ち歩いていたのですが、熱いまま包んでいたためそれが発酵して糸引き納豆になってしまったのです。これを食べてみたところ大変おいしかったので、これが糸引き納豆の始まりだというのです。
現に源義家が遠征でたどった道は、糸引き納豆の名産地と重なっており、納豆ロードとも呼ばれているのです。こうして東日本には糸引き納豆が広がり、対して西日本では九州の一部(源義家に討たれた安部氏が納豆を伝えたとも言われる)を除いて、あまり普及していないのです。

わらに包んだ煮豆が偶然発酵して糸引き納豆ができたという話は、実は結構本当ではないかと言われています(源義家かどうかはわかりませんが)。納豆を作る納豆菌とは、枯草菌と呼ばれる菌の一種で、稲わらに多く付着しています。通常は胞子になっていて熱や乾燥に強く、100℃でも-100℃でも死滅しません。そして熱と水分があると目覚めて活発に増殖し、あっという間に煮豆を糸引き納豆に変えてしまうのです。多くの菌の中でも、糸を引かせて独特の香りを出すのは納豆菌だけで、本当に偶然の産物と言えるわけです。

このように昔は煮豆をわらに包んで発酵させて納豆を作っていたのですが、やはり衛生状態に左右され、下手をすると腐ってしまうこともあり、工業的に作るのはかなり困難がありました。
そこで現代では納豆菌を分離して養殖し、それを使って納豆の生産がされています。といっても基本的な作り方は変わりなく、水を吸わせた大豆を圧力釜で煮て、納豆菌を混ぜた液を噴霧し、その後発酵させます。ここで納豆菌の熱に強い習性を利用して、他の菌が繁殖できないような熱いうちに納豆菌をかけ、衛生的な環境で発酵,熟成をさせて作っています。
ただし納豆は殺菌をしないで出荷されるので、冷暗所で保存して、早めに食べきることが大切です。

納豆は理想的な健康食品と言われますが、どんな成分が含まれているのでしょうか。まず糸引き納豆の特長である糸ですが、グルタミン酸とフラクタンという多糖類(果糖がつながったもの)からできた高分子化合物です。これは納豆菌によってのみ作られます。
そのほか多くの栄養素が含まれますが、これは畑の肉ともいわれる大豆の栄養素が、納豆菌の発酵によって分解され、体に吸収されやすい形になったものです。消化率は85%で、大豆の栄養をとるためには理想的な食品といえるでしょう。また豆類は動物に食べられないように有毒な成分(いわゆるアク)も含んでいるのですが、納豆菌はこれらも分解して無害にしてしまいます。

まずタンパク質ですが、大豆タンパクは水に溶けないため体に吸収されにくいのですが、納豆では50%が水溶性のタンパク質になります。タンパク質は血液や内臓、皮膚などの体の材料となるものなので、良質なものをとる必要がありますね。
またカルシウムとビタミンKが多いことも注目されています。骨を強くするにはカルシウムが必要ですが、カルシウムとタンパク質の結合を促すビタミンK2がないと、うまく骨が作れません。その意味では、納豆は骨粗しょう症の予防に有効と言われています。
そのほかにナットウキナーゼという成分は血管で血液が凝固してできる血栓を溶かす働きがあり、血中コルステロールを下げるリノール酸が豊富なこととあわせて、脳卒中や心筋梗塞などの成人病の予防にも効果があります。

納豆の成分で最近注目されているのが、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)という酵素です。これは体の細胞を傷つけ、老化の原因ともされている活性酸素を消す働きがあります。体内にもSODがありますが、加齢とともに減っていくので老化が進むとも言われています。
納豆を食べて、若々しい体を保ちたいですね。

 

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