ブランデーはおもにブドウを原料にして作られますが、それ以外のフルーツから作られるものもあります。その代表は、リンゴから作られるカルヴァドスですが、それ以外にもさまざまなフルーツから作られる蒸留酒があり、フルーツブランデー(フランス語ではオー・ド・ヴィー・フリュイ)と呼ばれています。今回はお菓子作りの材料としても良く使われる、フルーツブランデーについてご紹介します。
カルヴァドス(一般的にフルーツブランデーには入れない)の歴史は古く、16世紀には作られていた記録があり、19世紀に中心となる産地(フランスのノルマンディ地方)の名前をとって、カルヴァドスと呼ばれるようになりました。ちなみに、この地方以外で作られたアップルブランデーは、カルヴァドスとは名乗ることはできません。
限定された地域内でとれたリンゴのみを使い、コニャックと同様に単式で2回蒸留して、オーク樽で熟成させて作ります。そのため、琥珀色のお酒になります。
ブドウとリンゴ以外のフルーツは、糖度が高くないこともあり、アルコール生成や蒸留に時間と手間がかかります。そのため、比較的高価になるのですが、西ヨーロッパから東ヨーロッパにかけて、いろいろな原料から作られています。
西ヨーロッパで作られるフルーツブランデーは、蒸留した後に樽ではなくガラスや陶器・金属製の容器で貯蔵するものが多く、無色透明なお酒になります。そのためホワイトブランデーと呼ばれて、食後酒として飲まれることが多いようです。
おもな原料としては、さくらんぼ、プラム、ベリー、洋ナシなどなど。
これに対して、東ヨーロッパでは樽熟成により、琥珀色に仕上げるものが多いようです。
ホワイトブランデーで有名なのは、おもにフランスやドイツでさくらんぼを原料に作られるキルシュヴァッサーです。ドイツ語でキルシュはさくらんぼ、ヴァッサーは水のことですが、お酒に使うときは原料の果汁を発酵させて蒸留したものを意味します。
原料のさくらんぼをつぶして水を加えて発酵させ、1〜2回単式で蒸留して、ガラスあるいは陶器の容器で数ヶ月から1年以上熟成させます。おもな産地はフランスのアルザス地方ですが、もともとドイツ領だったこともあり、今でもフランスの法制上でキルシュというドイツ語が生きています。
ヴァッサーはキルシュ以外の材料から作るお酒にも使われますが、芳香にすぐれて生産量も多いのがキルシュで、そのほかにクエッチェ(紫スモモ)、ミラベル(黄スモモ)などを原料にしたものが多く作られています。
熟成されたホワイトブランデーは、お菓子作りによく合うということで、ヨーロッパを中心に多くのパティシエが好んで使います。原料の風味を活かしながら、それぞれの蔵が細やかで独自の蒸留技術によって、さまざまな個性あるお酒を作り出しています。
その特徴をつかんでお菓子作りに活かすのは難しいですが、まずは材料にあわせた比較的安いお酒を使って、楽しんでみてはいかがでしょうか。
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