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お菓子作りに使うお酒 〜ラム

ケーキづくりで一番よく目にするお酒は、ラムではないでしょうか。これはやはりラムの原料がサトウキビということで、その香りがケーキにマッチするということが、大きいと思います。今回はそのラムについてご紹介します。

「お酒の基礎知識 醸造酒と蒸留酒」でご紹介したように、お酒は醸造酒と蒸留酒に大きく分けられますが、ラムはブランデーと同じく蒸留酒の一種です。蒸留酒は錬金術というひとつのルーツから世界中に広がりましたが、南北アメリカにはコロンブスの航海以降に、その製法が伝えられました。
ラムは、1658年に西インド諸島のバルバドス島に移り住んだイギリス人が、サトウキビを原料にして作ったのが始まりと言われています。初めて蒸留酒を飲んだ現地の人々は、酔って興奮したため、当時の英語で「興奮」をあらわすrumbullion(ランバリオン)という言葉の最初の部分が残って、ラムと呼ばれるようになったといわれています。

西インド諸島は、その名からもわかるように、最初アジアの一部と思われ、その中に黄金の国ジパングがあると期待されましたが、それが誤解であったとわかると、サトウキビの生産地としてヨーロッパ諸国から利用されるようになります。そのためアフリカから大量の奴隷が、労働力として送り込まれました。
この奴隷にからんで、当時三角貿易と呼ばれる仕組みがありました。まずアフリカから奴隷を船で西インド諸島に運び、奴隷を下ろしてサトウキビから作るラムの原料の糖蜜を積み込んでアメリカのニューイングランドに運び、そこで糖蜜をおろしてラムを積み込み、アフリカに行って奴隷と交換するのです。このように連れてこられた多くのアフリカ系黒人の子孫が、今でもカリブ海諸国には多く暮らしています。

ラムの原料はサトウキビですが、その多くはサトウキビの搾り汁を煮詰めて、砂糖の結晶をとった残りの糖蜜から作られます。この糖蜜に酵母を混ぜて発酵させ、それを蒸留して原酒を作ります。これを内側を焦がしたオークの樽に入れて熟成させれば、ラムの出来上がりです。基本的には、ブランデーやウイスキーと似た製法ですが、19世紀には3Pの酒としてさげすまれていました。
3Pとは、Pirate(海賊)、Prostitution(売春)、Parot(おうむ=物まねの酒)ということで、いかがわしい人々が飲む、まねして作られた酒とされていたのです。

その後キューバのバカルディ社(現在世界で最も多くのラムを製造・販売している)が、連続式蒸留器を使った軽い風味のラムを作り始めたりして、徐々にラムのイメージも変わってゆきました。
ラムはその色で「ホワイト」「ゴールド」「ダーク」に分けられますが、一般的に色の濃いものは熟成期間が長く濃厚な風味、ホワイトは熟成期間が短く、活性炭を使って不純物を取り除いており、ライトな風味が特徴です。
さらに風味によって「ライト」「ミディアム」「ヘビー」に分けられます。
ライトは、糖蜜に酵母を混ぜて短期間で発酵させ、連続式蒸留器で軽い風味の原酒を作り、熟成はタンクか樽の香りを抑えた環境で行い、活性炭で処理して無色透明に仕上げます。
対するヘビーは、糖蜜にサトウキビの絞りかすや、蒸留ででた廃液なども混ぜて複雑発酵をさせ、昔ながらの単式蒸留器(原料の風味が残るのが特徴)で蒸留し、内側を焦がしたオーク樽でゆっくり熟成して作ります。そのため色も風味も濃厚で、芳醇で深い味わいのラムができあがるのです。
ミディアムは、ライトとヘビーをブレンドしたり、ライトの原酒を樽で熟成したりして、両方の中間の風味になっています。

かつてはさげすみの目で見られたこともあるラムですが、フローズン・ダイキリなどのカクテルのベースとして使われるようになったこともあり、今では第三世界を代表するスピリッツとして、都会の夜にも欠かせないお酒になっています。
もちろんお菓子作りにもなくてはならないものですが、いろいろ種類があって、どれを使えばいいか迷ってしまいますね。基本的には、おだやかなラム特有の香りが楽しめるミディアムタイプが、お菓子作りにはあっています。
またお菓子作りに適したタイプのラムもあるので、それを使ってみるのもいいですね。有名なところでは、オレンジリキュールで有名なコアントロー社傘下のセント・ジェームス 44%と54%(%はアルコール度数)。おもに製菓・料理用として作られています。
本場のラムを使ったリッチな風味のケーキを楽しんでみてはいかがでしょうか。

PR セント・ジェームス・ラム・44%,54%


 

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