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ビールについての雑学(1) |
暑いときに冷やしたビールは格別ですが、今回はその歴史について、ご紹介しましょう。
ビールの歴史は意外と古いのですが、今のようなビールになったのはごく最近のことです。紀元前3000年頃シュメール人(メソポタミア文明をつくった人々)がビールを作っていたという記録があり、それがもっとも古い証拠のようです。
ハムラビ法典で有名なバビロニアでも古代エジプトでも、ビールは国民的な飲み物として愛されました。当時のビールは、まず麦芽でパンを焼き、それをくだいて水を入れたつぼに入れて発酵させて作りました。味付けのために薬草を入れており、薬としても重宝されました。つぼはしっかりとふたができるものもあり、現代のような泡立つビールも作られていたと思われます。
その後ビールは、ヨーロッパの特に修道院で発展しました。中世ヨーロッパではお菓子やワインは修道院で作られるものがもっとも質がよかったのですが、ビールも例外ではありません。都市のビール業者から打ち壊しにあうこともあったようです。
ビールの味付け用にはさまざまな薬草が使われていたのですが、やがてホップがさわやかな苦味を持ち、また腐敗を防ぐことが知られるようになり、
14,5世紀には主流となりました。そして1516年にバイエルンのウィルヘルム4世によって有名な「ビール純粋令」が出されて、ドイツではビールは大麦の麦芽,ホップ,水だけで作ることとされました。これは現代でも受け継がれており、最近までドイツは他の原料を使ったビールを輸入せず、貿易問題になったほどです。
19世紀まで主流だったのは、上面発酵で作られたビールでした。これは発酵が進むと表面に浮上する上面酵母を使って、15〜25℃で発酵させて作ります。
それに対して、発酵が進むと底に沈む下面酵母を使って5〜10℃で発酵させる下面発酵のビールが作られるようになり、冷却技術の発達した19世紀以降はこちらが主流になりました。現在は穏やかな風味の下面発酵淡色のピルスナータイプが中心になり、下面発酵ビールは世界の生産量の9割を占めるまでになっています。上面発酵ビールは香味が強いのが特長で、エールやスタウトなどが代表的なものです。イギリスでは上面発酵ビールが多く作られています。
下面発酵が少なかった頃は、下面酵母は門外不出の貴重品とされ、スウェーデンのビール会社の創業者は、苦労して手に入れた下面酵母を殺さないように、井戸水をかけて冷やしながらドイツから持ち帰ったそうです。
そんな貴重品だった下面酵母ですが、近年の研究で上面酵母と生物学上の違いがないことがわかりました。作るときの温度の違いが大きかったわけです。お酒の歴史もなかなか深いですね。なおビールの効用についてはいずれまたご紹介する予定です。 |
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