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秋の味覚 柿
熱帯産のフルーツは、色も香りも派手なイメージがありますが、日本などの温帯でできる果物(フルーツよりこっちのほうが合います)は、おとなしい感じがします。そんな温帯果実の代表が、今回ご紹介する柿です。色はオレンジ色ですが、鮮やかという感じではなく、香りも弱く地味です。
たくさん木になっているのを時々見かけますが、秋晴れの空に映えて、日本の秋の風物詩といえます。また木守り柿として少しだけ残されているのも、風情がありますね。

柿の原産地は中国と言われていますが、古くに日本に渡ってきて、野生化したと考えられています。甘柿、渋柿あわせて、品種は1000種類ほどあると言われますが、甘柿は日本オリジナルです。
古くからある割には、あまり古代の文献には登場せず、平安時代に熟柿や干し柿を菓子として食べていたという記録が最初とされています。その後、鎌倉時代に甘柿、渋柿の区別がされるようになり、室町時代には貴重な甘味として、茶請けに使われました。そして江戸時代に栽培が盛んになって品種改良も進み、渋抜きが行われるようになり、広く親しまれるようになったのです。
江戸時代には、今でも作られている「御所」「西条」などの品種がすでにあり、明治時代には「富有」「次郎」などの主要品種が、全国に広まりました。

柿といえば、大きく甘柿と渋柿にわかれますが、渋味のもとであるタンニン(渋味のある物質の総称)はどちらの柿にもあります。未熟なうちはどちらも渋いのですが、甘柿は熟してくると、実に含まれるエチルアルコールなどが渋味のもとである可溶性タンニンを不溶性タンニンに変え、渋味を感じなくなります。
ちなみに柿を切ると、果肉にゴマのような黒い点が入っていることがありますが、これは不溶性タンニンが酸化したもので、甘柿に多く含まれます。

このような性質を利用して、渋抜きを行うことで、渋柿も食べることができます。
昔からよく行われているのが、収穫せずに木につけておいてやわらかくなるまで熟させる熟柿と、天日に干して乾燥させる干し柿です。どちらもタンニンが酸化して不溶性になるので、渋味がなくなります。
またアルコールや炭酸ガスを使ったり、凍らせたりする方法もあります。家庭で簡単に渋抜きを行うには、渋柿のヘタの部分に35度の焼酎やウイスキーを吹きかけ、もうひとつの柿とヘタの部分をあわせて新聞紙に包んでポリ袋に密閉し、20℃以上の室温に1週間置いておきます。柿はヘタに大きな気孔があって空気を吸い込んでいるので、アルコール分を吸収し、渋味を取ることができるのです。この方法だと柿の風味を損なわずに渋抜きができます。
またリンゴといっしょにポリ袋に入れておいても、リンゴの出すエチレンガスで渋抜きができます。

甘柿は自然にこのような渋抜きをしているのですが、実は寒いところではあまりうまくできません。そのため、甘柿の産地はおもに関東以西になります。同じ甘柿を植えても、寒いところでは渋柿になってしまうのです。逆に渋柿は少し寒くても構わないので、東北地方では、もっぱら渋柿が作られています。
また柿の特徴は、成長が遅いこと。よく「桃栗3年、柿8年」といわれますが、植えてから実が収穫できるまで、かなり時間がかかります。接ぎ木をすることで早めることができますが、それでも4〜6年ぐらいかかってしまいます。

柿の甘味は、おもにブドウ糖や果糖で、ショ糖(砂糖)はあまり含まれません。干し柿の表面の白い粉は、これらの糖分が出てきたもので、昔から甘味料として珍重されたこともうなずけます。
果肉や果皮のオレンジ色は、ニンジンやかぼちゃなどと同じくカロテン(体内でビタミンAになる)によるもので、ほかにビタミンCやカリウム、食物繊維が多く含まれるのが特徴です。特にビタミンCは意外にも柑橘類より多く、健康によい果物といえますね。

独特の渋味や、果肉の固さ、皮のむきにくさなどから、あまり人気があるとはいえませんが、体にもよく、なんと行っても日本の秋を代表する果物です。最近は食べやすい品種も増えてきていますし、干し柿もおやつにちょうどいいので、ぜひ食べてみてください。

 

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