おさびし山のホームメードケーキ
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梅の実のお話
今でこそ日本を代表する花といえば桜ですが、昔の日本人が愛したのは梅の花でした。万葉集にも梅を詠んだ歌が多く登場しますし、菅原道真公と飛び梅の話は有名です。また日本各地に梅の名所があります。今回はその梅の実について、注目してみました。

英語では「日本のアプリコット」、フランス語では「日本のプラム」と呼ばれる梅ですが、原産は中国だと言われています。ただしかなり古い時代に日本にやってきたようで、日本で野生として生えている木もあります。
アンズ(アプリコット)やスモモ(プラム)と同じバラ科サクラ属の植物ですが、その実は酸味が強いこともあり日本と中国だけで食べられている(しかも加工してしか食べない)ので、世界的にはかなりマイナーな存在になっています。

もともと観賞用として栽培されるようになり、花ウメと呼ばれるそれらの品種は300以上あるといわれています。その中から実をとるための実ウメと呼ばれる品種が、江戸時代から栽培されるようになり、品種改良も行われてきました。

その特徴は、やはり酸味。酢のなかった時代には酸味を出す調味料として重宝されたと言われ、その名残は味加減を表す「塩梅(あんばい)」という言葉にも残っています。
酸味のもとは、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸などの有機酸で、重量比で4〜6%も含まれます。未熟な青い実はリンゴ酸、熟した黄色い実はクエン酸が多く含まれています。
この豊富な有機酸のために、昔梅の実はおもに薬用として使われました。クエン酸は胃液分泌を高め、消化酵素を活性化し、胃の中の悪玉菌の殺菌効果により腸の乳酸菌を助けるなど、健胃薬、整腸薬として使われます。またその殺菌力を生かして、怪我の殺菌や痛み止め、うがい薬、咳止めなどにも利用されました。

江戸時代以降は実ウメの栽培にともない、いろいろな食べ方がされるようになりましたが、その代表はなんといっても梅干でしょう。奈良時代の文献に、アンズや梅を塩,酢,粕などに漬けたものがでてきますが、このあたりが梅干の原形ではないかといわれています。
また家庭では、梅酒を作ることも多いのではないでしょうか。そのほかにも、ジャムやジュース、梅びしおや梅肉エキスなど、バリエーションも豊富で、ケーキの材料としてもいろいろ使えます。
ただし梅の実の調理には、酸に強い材質(ガラス、陶磁器、ステンレスなど)を使う必要があります。意外と酸が強いので、アルミ製などはあとでさびてしまうことがあるので、要注意です。

最後におもな梅の実の種類をご紹介します。梅干の原料としてブランドになっているものもあるので、選ぶときの参考にしてみてください。
・南高
和歌山県で選出され、1965年に品種登録された、和歌山を代表する品種。果肉が厚く種が小さいので、梅干に適している。熟すと黄色くなり、完熟梅干の原料としてブランドになっている。6月中旬以降に収穫。
・白加賀
江戸時代から作られている古い品種で、関東地方に多い。果実が大きく品質もよく、南高とならぶ主力品種。
・豊後
アンズに近い品種で、寒さに強いので東北地方で多く栽培されている。種が大きいので梅干には向かず、梅酒やジャムなどにおもに使われる。
・甲州最小
小梅の主力品種。カリカリ漬けなどの原料となる。5月下旬〜6月上旬に熟す早生種で、おもに山梨県で多く作られている。

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