さわやかな柑橘(かんきつ)系の香りは、香料や料理の香り付けとして欠かせないものです。中でも洋菓子に使われる代表といえばレモンでしょう。
今回はそのレモンについて、かんたんにご紹介します。
レモンのような、糖分が少なくて香りが強く、食べるというよりも香り付けに使う柑橘類は、香酸柑橘とよばれます。洋食でよく使われるのが、レモンやライム、和食ではゆずやスダチ、かぼすなどがその代表です。
こうしてみると、意外に多くの柑橘類が身の回りにあることに気づきますね。
レモンのふるさとは、ヒマラヤ山脈のふもと、東インドのアッサム地方(紅茶でも有名)といわれています。それが12世紀ごろアラブ人によってヨーロッパに伝わり、イタリアのコルシカ・シチリア島やスペインなどの地中海沿岸で盛んに栽培されるようになり、さらに15世紀にはアメリカに渡り、現在では南カリフォルニアも大きな産地のひとつとなっています。
日本には明治に渡ってきましたが、寒さや病気に弱いので、瀬戸内海沿岸や静岡・和歌山など限られたところで作られています。
暑いところが原産ということもあり、花は1年に3回も咲き、実も1年中収穫できます。ただし日本では、年1回11〜12月が収穫期になります。
レモンといえば、あのすっぱさとビタミンCが特徴ですが、すっぱいのはクエン酸が豊富に含まれているため。ちなみに、酸味は味覚を刺激して精神的なストレスを緩和するほか、タンパク質の消化吸収を高める効果もあるとか。
またビタミンCも果汁100gに45mgも含まれています。ビタミンCが不足すると、壊血症という病気(歯や骨が弱くなり、歯ぐきに炎症や出血を起こす)になるのですが、それを防ぐために大航海時代には、たくさんのレモンを船に積んで、長い航海に備えました。
レモンの香りは、果皮に含まれるレモン油によるもので、その主成分はリモネンですが、香りを特徴付けているのは、少量含まれるシトラールという揮発成分です。
これはしょうがや山椒などにも含まれ、気持ちをリラックスさせたりリフレッシュさせる効果のほか、抗菌,殺菌作用もあるとされ、風邪のひきはじめや水虫などにも効果があるといわれています。
ただしレモンの香り成分は酸化しやすく、空気にさらしておくと薬くさくなるので、早めに使い切るようにしましょう。
レモンはおもに魚介料理の下処理や、オードブル,デザートなどの風味のアクセントづけなどに、広く使われます。また果汁は、ドレッシングやジュースのほか、レモンパイやゼリー、ケーキなどにもよく使います。
しかし輸入品は、表面をきれいにするためのワックスや、長期保存のためのポストハーベスト農薬などの心配があります。
できれば国産のものを使いたいのですが、無理な場合は、ボールなどに熱めのお湯をはってレモンをいれ、たわしで細かく円を描くように、力を入れすぎないように表面を洗います。さらに流し湯で表面を洗ってから使うようにしましょう。
PR 希少な国産レモン
見た目は悪いですが、安心して皮ごと使えます。
|