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香料諸島の香り クローヴ,ナツメグ |
コロンブスが香料や黄金を求めて西に旅立ったのは有名な話です。それほど当時のヨーロッパでは、香料は貴重品でした。すでに4世紀ごろから、東方の香料はアラブの商人などによってもたらされていましたが、高価であったため、それを独占したい国々が競ったのが、大航海時代だったのです。
その目的地のひとつが、当時香料諸島とよばれたモルッカ諸島です。今のインドネシアのスラウェシ島(Kの字の島)とニューギニア島の間に散在する島々で、おもに北部でクローヴ、中央部でナツメグが作られていました。どちらも肉料理には欠かせない香料で、ヨーロッパで珍重されたため、島と島民の運命は翻弄されたのです。
まずモルッカ諸島にやってきたのは、日本に鉄砲をもたらしたように、早くからアジアに進出していたポルトガル人でした。1512年に島々を占拠すると、香料貿易の主導権を握ったのです。
その後スペイン王室の命で、1519年にマゼラン一行が西回りでモルッカ諸島に向かいましたが、途中でマゼランを失い、なんとかモルッカ諸島で香料を積み持ち帰ったものの、265名の乗組員がわずか18名になるという厳しい旅でした。そのためスペインはこの西回り航路を使うことはなかったのです。ただこのとき持ち帰った香料は、マゼラン一行の3年分の費用をまかなっても、まだ利益が出たそうです。
17世紀になると、その後日本との貿易も独占するオランダが、東インド会社を設立してモルッカ諸島に進出し、ポルトガルにかわってジャワ,スマトラを含めた一体を支配しました。そして香料貿易を支配したオランダ人は、生産量を調整するために、自らの管轄外の香料の原木をすべて伐採、焼却するという強硬手段にでたのです。そのためヨーロッパでの香料貿易をさらに強く独占することができましたが、島民たちには恨まれることになりました。
その後イギリスが実権を握った時期もありましたが、第二次世界大戦までオランダの植民地としての歴史が長く続きました。しかし18世紀末以降は、香料の産地がほかに増えたため、香料生産の中心という地位は失いました。
●クローヴ(和名:丁字)
フトモモ科の木で、つぼみを開く直前に収穫し、天日で数日乾燥して作ります。通常は粉末を使いますが、肉に切れ目を入れて差し、そのまま焼いて食べることもあるとか。
成長が遅く、植えてから6〜8年で収穫できるようになり、20年ぐらいで最大生産量に達し、その後50年以上収穫できます。そのためモルッカ諸島では、子供が生まれるとクローヴを植える風習があるそうです。
香気が極めて強く、また強い刺激的な香りですが、甘い香りも感じられます。肉の臭みをとるので、粉末にしてひき肉料理によく使われます。また焼き菓子にバニラといっしょに使うと、バニラの香りを高める効果があります。バニラエッセンスは加熱するとどうしても香りが弱くなりますが、クローヴとあわせると、クローヴの刺激的香りは弱まり、バニラの香りが引き立ちます。
そのほか抗酸化作用が強いので鉄のさび止めに使われたり、局所麻酔効果や殺菌消毒効果があるので、歯痛止めにも使われます。有名な今冶水はクローブが使われており、そのせいかクローヴは消毒薬臭いと、日本人にはあまり人気がありません。
●ナツメグ,メース(和名:ニクズク)
ニクズク科の木で、種の部分を使います。種の周りの赤い仮種皮とよばれる網状のものがメース、種の中の仁をナツメグとよび、ともに乾燥させて粉末にして使います。
主成分は同じで、ともにエキゾチックで甘い刺激のある香りと、ほろ苦さが特徴です。メースのほうが刺激,芳香,苦味とも弱く、繊細な香りで、また量的に少ないこともあり、高価です。
不快なにおいを包み込む作用があり、キャベツを加熱したときのにおいを完全に消します。またクローヴ同様にひき肉料理には欠かせません。甘い刺激のある香りは、パンやお菓子にもよく合い、熱を加えると刺激が弱まり甘さが強調されるので、特にドーナツのような甘い香りのお菓子に使います。
メースは特にフルーツケーキやフルーツパイ,焼きリンゴなどに、シナモンといっしょに使うとよいでしょう。プリンなどの乳製品や、パウンドケーキ,クリームパイなどの色の淡いお菓子にもよく合います。
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