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牛乳の科学
天然の食物のうち、単独でとる物としてはもっとも栄養的な価価が高いといわれる牛乳。今回はその牛乳の成分や特長について、簡単にご紹介します。

牛乳は牛の乳ですが、牛乳を搾るための牛にもいくつかの種類があります。もっともポピュラーなのが、黒白のまだらでおなじみのホルスタインですね。原産地はオランダで、ドイツのホルスタイン地方からアメリカに渡り改良されたので、その名前があります。日本には明治10年代に、アメリカから輸入されました。乳量が多く、また搾乳速度が速いので、世界中で乳牛として飼育されています。乳脂肪分は3.5%程度と比較的少なく、くせのないのが特徴です。
ほかにはジャージー(乳脂肪分約5%)やガーンジー、エアシャー、ブラウンスイスなどの乳牛がありますが、日本ではほとんど飼育されていません。

牛乳は、法律で乳脂肪分3.0%以上、無脂乳固形分8%以上、成分無調整のものと決められています。乳脂肪分が少ないと薄く、多いと濃く感じることからもわかるように、乳脂肪は牛乳のメインとなる成分です。しぼったばかりの牛乳には、脂肪分が小さな脂肪球(0.1〜10μm [1μmは1000分の1mm])の形で、1mlあたり20〜60億個がコロイド状に分散して含まれています。このように脂肪分が細かく乳化状で含まれるので、とても吸収がよいのです。
しかししぼったままでは脂肪球の大きさにばらつきがあり、置いておくと分離しやすいので、通常はホモジナイズという処理で脂肪球を2μm以下に均一化し、さらに消化をよくしています。
脂肪分がとりやすいというと、牛乳を飲むと太るのではと心配される方もいるでしょう。しかし中高生女子を対象にした調査では、牛乳を多く飲む人のほうが、体脂肪率が低いという結果がでています。牛乳はバランスのよい栄養食品で、必ずしもカロリーが高くはないので、そのような結果になるのでしょう。

牛乳には、良質のタンパク質も多く含まれています。その8割がガゼイン。ガゼインは必須アミノ酸をすべてバランスよく含み、栄養上すぐれたタンパク質です。ガゼインは酸や凝乳酵素で固まりますが、ヨーグルトやチーズはこの性質を生かしたものです。
残りのタンパク質は乳清タンパク質(ホエー)と呼ばれ、水溶性で加熱すると固まります。ホットミルクにできる膜は、この乳清タンパク質がかたまったものです。

糖質も多く含まれますが、大部分は乳糖(ラクトース)です。乳糖の甘みは砂糖などの16%ぐらいなので、人間の舌ではほとんど甘みは感じません。乳糖は、腸の中で乳酸菌の働きを助けるとともに、カルシウムの吸収をよくします。
ただし乳糖を分解するラクターゼという酵素を持たない人は、牛乳を飲むと消化がうまくできず下痢をするので、注意が必要です。これは乳糖不耐症とよばれますが、あらかじめ乳糖を分解してある牛乳もあるので、こちらを飲むとよいでしょう。

そのほか、牛乳といえば欠かせないのがカルシウムです。牛乳1本(200ml)に220mg以上含まれていますが、これは成人が1日に必要とする量の約1/3になります。さらに乳糖や、ガゼインが小腸で分解されてできるCPP(ガゼインホスホペプチド)はカルシウムの吸収を高めるため、効率的にとることができます。特にCPPはニワトリのえさに入れて、卵でとられるカルシウムを補うのに使われるなど、その効果が広く認められています。骨粗しょう症や動脈硬化などの予防のためにも、カルシウムは積極的にとりたいものです。

このように理想的な食品でありながら、とても安く手に入れることができる牛乳。においが苦手という方もいるようですが、いろいろ工夫して飲みやすく、おいしい牛乳もたくさんでています。ぜひ日々の習慣としたいですね。

 

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