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クリスマスツリーとブッシュ・ド・ノエル |
クリスマスの由来については、以前簡単にご紹介したことがありますが、もともとはヨーロッパの各地で行われていた冬至祭がもとになっています。太陽がもっとも力を失い、死者の霊が地上に満ち溢れる季節に、霊を慰めるとともに、次の年の豊穣を祈ります。
その冬の寒い時期にも、命の象徴である緑を失わない常緑樹は、不滅の命の象徴として、昔からことあるごとに飾りとして使われてきました。そんな常緑樹の代表であるモミの木をクリスマスに飾るようになったのは、意外に新しく17世紀のドイツで始まったといわれています。
モミの木を部屋に立てて、ビスケットやリンゴ、色紙で作った飾りやパンなどを飾りました。ろうそくを直接飾ったのは、宗教改革でおなじみのルターだといわれています。
このクリスマスツリーの習慣は、その後イギリスやフランスにひろまり、アメリカにもわたりました。1912年にボストンで広場のクリスマスツリーにイルミネーションを飾って以降、世界中できらびやかなクリスマスツリーが飾られるようになり、今ではすっかりクリスマスにはなくてはならないものになっています。
モミの木と同じ常緑樹のヒイラギも、昔から飾りとしてよく使われました。縁のとがった葉は、病気をいやしたり悪霊を追い払う力があると信じられました。
クリスマスの前の4週間は、キリストの降誕を待つアドベント(待降節)とよばれていますが、この時期にヒイラギを環にしたアドベントリースを、家の扉やテーブルなどに飾る習慣もあります。
ヒイラギの葉の緑と実の赤は、クリスマスを象徴する色ですが、同時にヒイラギの環は十字架にかけられたキリストの冠をあらわし、実の赤はその血の象徴でもあります。
クリスマスツリーにろうそくを灯したのはルターだとご紹介しましたが、ろうそくは太陽の光をあらわし、キリスト教が世の中を照らすことの象徴だとされています。そしてキリスト教より前から、北欧では冬至に、やはり太陽の象徴として、大きな薪に火をつけて一晩中絶やさないようにする習慣がありました。
その暖炉の薪をテーブルの上に持ってきたのが、クリスマスケーキの代表とされている、ブッシュ・ド・ノエルです。なぜ木の形をしたケーキなのか不思議に思っていた方もいると思いますが、昔からの習慣をお菓子に取り入れたわけですね。
今年のクリスマスは、いろいろな恵みをもたらしてくれる太陽に感謝して、ブッシュ・ド・ノエルを作ってみてはいかがでしょうか。 |
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